─ 少し後:地下礼拝堂 ─
吸血鬼でも子供を作れるのね。
[ アデルの父親が、この城の吸血鬼かもしれない……。
……何を言えばいいのか分らなくて、
ただ、思いついた事をその順に話した。
沈黙を恐れるように。 ]
……そういうことだから、
人は、簡単に吸血鬼になってしまうのかしら。
永遠に生きて、強くて、老いもせずにいられて、家族も作れるならば。
[ もしかすると、魔物を良く知る者には、何をいまさらと笑われるのかもしれない。 ]
……ううん。
でも、やっぱりだめ。
吸血鬼になることを……死ぬことを肯定したら、
頑張って「生きる」って意味がなくなってしまうわ。