フェリクス・フォン・ラメールを拘束せよ。[躊躇うような一瞬の間、けれどウェルシュへと敬礼返した軍人は大将>>31と同じ判断を下したのだろう。あくまでも丁重に、だが一度判断を下せば動きには躊躇いもなく、軍人らは兄の周りを囲みゆく。その様子を奥歯噛み締め、微かな震えを押し殺しながら、ウェルシュはずっと見ていた。握りしめた拳は白く、知らず肌に爪が食い込んでいた。*]