―バルコニー―[ふつりと中空を揺らいでいた焔が消えた。辺りは仄かな暗闇に戻される。こうなってしまえば、もはや開いた左眼も視力は消える。黄金色の狐はゆっくりと丸くなり、暫しの休眠へ。欠けた耳は、顔面の傷跡は、修復するまで時間を要すると思われた。あれほど焦がれた気配>>57が近づいてくることにも、直ぐには気づくことが出来ぬまま。 眠る]