[あの時の彼は、ただこちらの顔を見つめただけで挨拶以外は何も言いはしなかった。 ただそれだけのことではあったけれど、散々に口さがない事を言われ続けた自身にとっては、それだけのことが随分嬉しくて。 だから、兵役中ではあれ、彼が隊長を務めあげるまで成長を遂げていたことも。 実に頼もしく、きっと兵役を上がった暁には相応の場に立つこととなるだろう。 そう思っていたし、この戦いが終わればそれは現実となるはずだ。 だから。先に浮かんだ不安が的中しなければ良いと、再度願うように目を伏せた**]