[船内やグルトップ号にも、 茶色系統の髪色の人間は、自分を含め何人もいたように思うが。 本当の毛の持ち主とは、久しく会っていなかったためか。 ガルーがらみの実験の被験者だったと、 知った直後だったからだろうか。 一瞬、脳裏に浮かんだのは土色の髪の――…ディーク。 もしも彼が人狼だったら――…心臓が鋭い爪で鷲掴みにされるように痛んでぎゅっと目をつむって堪えてから、悪い想像は一先ず横置きする。]