あの娘…表情が、変わりました。
[実の所、この眼鏡に所謂度は入っていない。
長時間の光にあまり体制の無い眼球を保護するために、若干の遮光機能が備わるのみのその硝子は、無くしたところで大した影響はない。
元々動体視力も悪くない、遠目にも戦の状況は良く見えていた。
最初門の傍で出会った時に、わざわざ少し離れたところにいた己に言葉をかけ、名乗りを求めた彼女はそこにはいない。
そこにあるのは、どこまでも冷徹な眼差しの、氷の化身。
その身のこなしも、ごく普通の娘のように見えた少女からは、想像もつかないような代物である。]