― 翌日の夜明け ―[…寒い。そんな感覚と共に、覚醒は快適とは少し言い難い。喉が微かに痛む。これは寒い日の朝、風邪で無くとも人間時折覚える感覚だろう。寝過ぎた。朝食つくり損ねたかも知れない。特に兄の職業柄、朝の家事は自分の役割が多いはずなのに。もぞもぞと起き出し、羽織と共に部屋を抜け出せば、香ばしい薪の香り。同時に漂う、パンとは異なる朝の香りを感じて、家事のタイムアウトを悟るが。この程度の事なら、と素直に兄に甘える事で、自己完結した]