[普段よりも幾分か低く押し込められた言葉が辛かった。>>57]
…… あぁ、分かるさ、嫌でも。
そういう事だろうってのは、…分かるさ。
[言われなくとも分かっていた筈だ。
それでも、白状に似たような事をしてほしかった訳でもない筈だ。]
……… それは。
今は…、… 今のままなら無理だろう。
王子の不足故ではなく、
臣下と軍部、民衆の意識故に恐らくは。
[永く平和を享受した弊害として、それを「当たり前」としか取れない国民に、先見の明が備わる筈がない。
いつか内部分裂を起こさないとも限らないだろう。
だから、この答えは歯切れが悪かった。
そのまま目線が他所へ流れた隙に寄せられた口が、言葉を紡ぎ、それは嫌に重々しく響いた気がした。]