[青年は、片手に持ってきた包みを机上に解いた。
机に置いた白い布の上に広げられたのは、
一見ただの美しい石の欠片たち。魔法の触媒である。
見る者が見れば、高度な術式の触媒と知れるであろう。
術を使う時に消費される形のものではない。
術を、それ自体に込めて使う形のもの
──非常に扱いが難しいとされる形のものだ]
…これを使って、守りの石をつくろうとしてるんですが。
防ぐための石を──、そうだな。
出来れば一度だけでいい、出来る限りの打撃を防げるものを。
かなうなら、持ち主の身代わりに使えるものを。
[あれば、キアラに持たせてやりたかったもの。
或いはソマリアードに(無事と聞いているけれども)持たせてやりたかったもの。
大切なひとを二度と失いたくないから、と。
そうした願いで密かに長く研究していた触媒を、助言を求めてさらけ出す]