―少し前/テウティドドリルス号船内―
[一瞬、請求書の0の数を想像して恐れおののく>>59。
船体と研究所の被害で、総額どのくらいになることやら。
船側も船員含め、大概は保険で賄えるだろうが、
不足分は、ナイスネーミングセンスな
テウティドドリルス号の持ち主の、幸運と金運を祈っておく。
被害による、博士の安否を尋ねようか躊躇う気持ちは、
識別コードの響きに消えた]
ジークムント、識別ナンバーはCC-011…か。
やっぱり人間ではないか。
…変り者の偏屈ジジイのお守とは、君もご苦労なことだ。
救難と受け入れには、礼を云う。
[未だにこの小惑星にいるのが、人間ではなくアンドロイドで、
ほっとしたのか、がっかりしたのか。
少しばかり皮肉を混ぜつつも、感謝もまた本心から。
すぐに全乗員のデータを送信した]