[ゲルトの返事は予想外の内容。しかし青年は、いつもの真面目顔でこう応じた。] 男子たるもの、可能ならば一国のあるじになれれば本望でしょう。 素晴らしいです。[青年の隣には空いた酒瓶が何本か転がっていた。だがザルを通り越したワク。素面であることは見た目からも明らかであったし、青年の知り合いならば誰もが知っている有名な話だった。それでも、ケラケラと笑うゲルトの言葉を真に受けたのか、はたまたゲルトに話を合わせたのかは、やはり神のみぞ知る。]