[その声を聞いてしばらく何も言えずに立っていた。が、やがて、くすり……と自嘲気味な笑みを溢した。]……どうやら、私がヴァルハラに行くのは、もう少し先になりそうですねぇ……[彼等を見捨てることはできない。彼等が必死に求める救いに応えたい。そう思ってしまった。男は全員が注目するように手を叩いた。]……これより、怪我人の治療をします。負傷者は全員、船へ上がりなさい。[――次の瞬間、海面で腕を伸ばしていただけの死者たちが、その言葉を合図に一斉にヴィスマルクの上に上がってきた。*]