[昔は当然のように繋いでいた手。年頃と言われる時期に入ると、その機会は無くなっていた。
偶然道端で出会った学友に、恋人でもないのに手を繋ぐなんて可笑しいと揶揄されたのだ。恥ずかしかったというよりは、驚いた。これまで普通にしていたことが、一般的には可笑しいのだと知って。そして彼女の手を離し、それっきり]
………ん?
[するりと手が離れた。小走りで駆けていく相手に、何となく動機を察して溜息。
ただ、彼女が何処かへ行ってしまうのではないかとか、そんな不安はもう抱かない。戻ってくるのを、静かにその場で待って]
お前に学習能力はないのか。
[可愛らしい雪うさぎの感想より先に、小言が口をつく。雪に冷えた彼女の指先は、寒そうにまた淡く赤らんでいた]