── 旅立ち・春>>58 ── ───バタン。[呼び掛けに応える声がして、扉の音に視線を向ければ、其処には愛を誓った大切な人の笑顔。] ぷふふ… 髪の毛凄いことになってるー…[見上げたその金糸が、いつに無く広がっているのを見れば思わず吹き出す。一歩、彼に近付けば、その手を伸ばして跳ねた髪に触れる。手で押さえたところで、その跳ねは収まらない。分かっていたけど、その髪に触れたくなったのだ。柔らかい彼の髪のはふわりと春の風に揺れる。] 行こっかー。[ニコリと一つ笑えば、右手を差し出した。]