[唐突に「可愛い」と言われた>>55
こんな汚れた自分をまだ可愛いと言ってくれるのか。
涙が止まらない。
見上げると、見かねたのか、ゲルトが涙をなめとってくれた。だが、汚れた服を洗い流さないと言われ再び恐怖で足がすくむ。
やはりこんな姿の自分は疎ましいのかもしれない。]
嫌わ、ないで……
[それを言うのが精一杯だった。
1人でも生きて行けると、強がりを、何度も何度も思ったのに。
嫌だ、この人を失いたく無い。
きっと、自分じゃなくても、ゲルトなら誰とでも
楽しく生きていけるのだろう。
でも、自分はゲルトじゃなきゃ嫌だ。
嗚咽が邪魔で、言いたい事も言えない。考えたことを全部言いたいのに。]