人狼物語−薔薇の下国

489 グラムワーグ・サーガ4


告死の影翼 シメオン

― 臨時元帥府・上空 ―

[それは、奇跡の起こるほんの少し前の事。
天上の響き、それによって得た報せ。
在るべき領域を違えつつ、けれど、信と敬意を抱いていた光の消滅は、影の予定を一つ変えていた]

 ……クレメンス・デューラーの心意気に敬意を表し、このまま去るのも悪くないかとは思ったんだが。
 さすがに、ちょっと事情が変わったな。

[低く呟き、両の手に短刀を構える。
周囲でゆらり、と影が揺れた]

 己が務めと在り方を貫きし光へ、俺なりの手向けだ。

 ゆらゆらゆら。
 揺らめき集え、影の華。

[紡がれる呪に応じ、空中に薄墨色の華が複数開く]

 集いて開き、散り果てよ……!

[宣と共に振り下ろされる、刃。
それに従うように地へと落ちた華は直後、一斉に爆発する]

(60) 2017/11/08(Wed) 20:52:17

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