― 翠の記憶 ―
[歌って、とお願いしたら、彼女が下を向いてしまった。
なにか泣かせるようなことをしてしまったのかとうろたえて、どうしたらいいのかわからずにほんの少し彼女に近寄る。
ぎゅっと握っている手に触ろうか。母さんがしてくれるみたいに。
手を伸ばしては迷っているうちに、彼女の声が聞こえた。
それは、とても温かくて、
なぜだか頭がぼおっとのぼせるような
魔法みたいな言葉だった。]
…… …歌うよ。一緒に歌うよ。
だから、教えて?
[一緒に歌って、たくさん歌って。
そしたらもっと、仲良く、なれるかなとおもったんだ。]**