[戦いは苛烈を極め、戦舞台には氷雪と水火か猛り踊る。少し距離を取った場所ですら、その冷気と熱を感じるのだから、実際の戦舞台ではどれほどであろう。ぶるり、と背中が震えたのは、武者震い。男の口元には、仄かな笑みが浮かぶ。相も変わらず、男の視界に映るのは、赤とそれ以外の濃淡。しかし、眼鏡の奥の眼差しは、鋭い。男は、ふと、あることに気付き、そっとそれを口にする。]