― スラム街 ―
アイリ、か。
[ 男が足を止めた事に、娘が驚いたとは気付かず、名乗り返された名を反芻し、記憶する。>>48彼女を獲物と認識する確率は、これでぐっと下がったことになる ]
ああ?
[ だが、次いでアイリが口にした言葉には、怪訝そうに眉を寄せた ]
別に助けたつもりはないが...
[ 単に、同じ敵を追い払う為に手を組んだに過ぎない、と、言いかけて ]
...ああ、お前が主を助けたかったから、か。
[ あの時、隠れるばかりだった少女は、多分、自分が足手纏いであることを悔やんでいたのだろう、と、ふいに思い至って小さく笑った ]