…?
[ふと、声が聞こえた気がした>>43
言葉の意味を考えてみるが、よく分からない。人の名前、のような。
声を発した男に気付いて、先程の場所に戻るべく道を聞こうと口を開いた。ここが魔界と知れば、腕の中の存在を咎められる可能性は低い]
え?
[けれど声を出すよりも早く、男の姿が溶けるよう、すぅと消える。
神に仕える身ではあれ、魔のものや闇に対する知識は薄い。人かと思った、のは無警戒にすぎるというか、単に鈍いのか]
(あ)
[驚いた拍子に一歩後退ったのが悪かったのだろう。ふと、足元の地面が消える感覚。
どぼーん!
派手な音をたてて、岩の隙間の温泉のひとつに、水飛沫が上がった*]