― 宿屋厨房 ―
おう、ペーター。そろそろ来る頃だと思っていた。こんにちは。
[厨房の暖炉に薪を追加していると、想定通りの人物に声をかけられた>>2。しゃがんだ姿勢のままゆっくり振り返り、口元を緩める。]
これだけ気温が下がったら、もう果物は無理だろうな。
お疲れ様。折角ペーターが取ってきてくれたんだ、味わって食べないとバチが当たるな。
[厨房の台に置かれた籠の中身に目を細め、いつも通り軽口を叩く。
冬の間はわずかに残った人々が細々と過ごす村では、余所者と言えども働かねば足手まといになってしまう。宿屋の温泉で療養を始めた頃こそほとんど手伝いらしい手伝いはできなかったが、今では宿屋で必要な大抵の仕事はこなせるまでに回復していた。]