―城内―[客室へと自分達を案内する影めいた存在は何度見ても慣れない。吸血鬼としてまだ日が浅いからか。それともまだ此方側ではないのだと思いたいのか。隣に並ぶ血親の視線を感じればちらと其方を向いて]……。努力はする。[愛想など振り撒けるわけがないが、礼儀だけは努力しようか。実際に完璧にこなせるかどうかは別として。気味が悪い、という言葉を耳にすれば、誰が愛想よくするかと眉を吊り上げた。]