[刹那の頭痛に手が、身が止まる。
当然それを見逃すはずが無く、カサンドラの身は離れる。
獣の部位が表出して以降、彼女の身体能力が明らかに向上したのは容易に感じ取れる。
トゥランタの古代種は、眼前の『獲物』に即座に意識を取り戻す。
己が誕生した際から常に時を共有する、凶暴化する前から棲みついていた存在。いわばパートナーである。
時に意識すら支配するそれは、全て宿主の生命を守る為。]
……さあな?
なって欲しいといってもどうせ頷かないのだろう?
……それに、なっても幸せにはなれないだろう?
半分だけ化け物が、100パーセントの化け物になるのだぞ?
[礼には礼を。挑発には挑発でお返ししよう。
例え耳や尻尾が生え、見た目が近付いたとしても――
カサンドラは仲間であって仲間でない。
過去に何度も言ったように、カサンドラは人間なのだから。
それは純血種の人狼である己が一番良く知っている。
血を拭う姿>>38、挑発の言葉>>39に本能的に口角が上がる。
それは、破壊と血肉を求める抗い難き本能。]