兄上。今からでも良いのです。
叶うならば、通じた者についてお教えください。
兄上が為されたこと、それらをどうか。
私たちにはこの国の民を守る義務がある。
皆から学んだことを生かして、国の為に尽くす責務がある。
…─── そう、だったはずでしょう?
[一か月前、兄と二人きりで語り合った日に。
数日前、再び兄と幼馴染の死を悼んだ日に。
繰り返し、繰り返し。誓いのように交わした言葉は幻か。
兄が水を飲み降す>>53
その光景を、ウェルシュはどこか劇を眺めるかのように目に映した。
スローモーションのように、兄の喉が動く様子が瞼に焼き付く。]