[牽制代わりに鞘を投げ付けてみたが、クレメンスにとってはもはや眼中にすらない物のようだった。
鞘をサラリと交わして、男目掛けて殺意剥き出しで突っ込んでくる。>>37
……まるで理性のない獰猛な獣を見ているようだったが]
(はやっ……!?)
[軽い護身程度に身に付けた武術では対応しきれないその速さのままに得物を抜刀しようとするのが見えたた時、”死神”が咄嗟に手の動きを支配してナイフを盾代わりにして受け流そうとするように体の前へ構える。
しかし果物ナイフで刀の力を上手く受け流せる訳もなく
寧ろ中途半端なもので受け流そうとした事で避けられたかもしれない一文字の斬撃によって左の脇腹が切り裂かれる。]
い''っ、て……
ハッ、心配しなくても大人しく殺される気はねぇよ
[堪らず手ぶらな左手で脇腹を抑えるものの、口も表情もいつもの調子のままでケラケラ笑って答えてみせた。
出血こそしているがそこまで深く斬られた訳ではないようだ、それでも死神は悔しそうだが男は内心でよしよしとしているところ。
そもそもクレメンスが意図的に攻撃圏内ギリギリで斬りつけたと知らずの反応がだが、それを知ったとしても死神が更に悔しそうに鳴き出すだけだろう。
男にとっては死神を疲弊される意味ですぐに殺そうとされるより都合がいい。]