― 王宮内・廊下 ―
……あら、五徳ちゃん。
[首を傾げていたら、駆けてきたのは先にも見送った猫型付喪神。
五徳猫は天井下りな各務さんに気づくと、にゃーにゃーにゃー、と何やら訴えかける]
……あらあら。
黒いこに悪戯したら、追い回されるのは間違いないでしょうに。
頑張って、逃げ切るのだわー。
[必死の訴えに対して、さらり、と返すのは非常な言葉。
この言葉に五徳猫はしゅーん、という感じで項垂れ……たかと思うと、びくうっ! っと跳び上がる。
同時に感じ取るのは、人ならざるものの気配、ひとつ]
黒いこ、こちらにくるみたいねぇ。
[それが何かを察した各務さんは、実にのんびり、こう呟いた。*]