[経験豊富な目上の者には敬意を払うこと。そして、きちんと挨拶すること。
けっして裕福ではない下町育ちの自分でさえ、母や兄を見習って常識として知っている。
だからリエヴルに挨拶したのは、常識の範囲内でもあった。
でも実際はこの穏やかな先輩Esが、どこか幼い頃に亡くした父親のようにも思えて。
とても好感を抱いていた。]
そんなことないです、先輩は先輩ですっ!
――あ、どこかへ行かれるなら、 俺押しますよ。
[ディークにとって"Es全ての隊員が先輩"に当たるのだが。
そこまで深くは考えてない様子で、リエヴルの車椅子を押そうと傍に寄った。]
……ただし――あの変態王子だけは、別ですけど…。
[ただし、それは敬意を払うに値する人間に対してであって。
王子のような類の人間には当てはまらない。]