[>>54誰もいなかった…。そう聞けば、先ほどのはなんだったのかと狐につままれたような心地になって。
どうやって逃げたのだろう、まるで幽霊のようだと思えばぞっとする]
あ、はい!失礼しました‥……
[背を叩かれれば、ハッとして。だらしがないと自分でもそう思う。
さっきのはもう、忘れよう……そう必死に気持ちを切り替える。
彼についていくようにしてテントの傍に戻り、彼からの命令には正直ほっとした。
躯を動かしていた方が気が紛れそうだったから]
了解しました。
お任せください。
[固形燃料に火をつければ周囲が明るくなる。
慣れた手つきで愛用のナイフで魚を捌き、熱が無駄にならないように蒸しあげる。
先ほど採ってきた野草はカレーパウダーと一緒に炒めよう。それで味付けすればなんでも食べられるようになる…そう教えてくれたのは、誰だったろうか。
過去の一幕を思い出しながら、思わず口元に笑みを浮かべていた]
ゲオルグさん、できましたよ。いらしてください。
デザートに茱萸もあるんですよ。
[大仰な調理器具など存在しない野外実習。最低限のものしかないから、美味しいとは言い切れないだろう。
ただ、飢えをしのぐためだけの食事。命をつなぐためだけの行為。
それでも、少しでも彼が喜んでくれれば嬉しい*]