[神父さまの、首を傾ぐ様子>>42 は、幼い頃に見た彼のしぐさと変わりません。
それでも神父さまの装いが、時の流れをわたしに見せつけています。
人狼は人を喰らうから悪。その言葉を口の中で繰り返しました。]
どうしてヒトを食べたがるのでしょうね。
わたしは、母さんに作ってもらうシチューの方が美味しいと思うけど。
滅ぼされた村なんて……。
おに、……神父さまは、そんなものまで見ていらしたのですね。
もっと良い景色を見る訳にはいかなかったのですか?
[詳しい事情は知りませんが、確か神父さまは本来、商人となるために村を出て行ったと聞きました。
お別れの日は、それはそれは悲しくて、彼の荷物からモノを取り上げこっそり隠したものでした。
時の壁があれど彼の浮かべる笑みの優しさは変わらなく思えて、
たとえ誤魔化しの笑みだって、流されてしまうのが常です。]