…………あ…………ご………ごめんなさい……
[マスク越しに通りにくい声で、ボソボソと謝る。
相手が誰だか認識したのは、その頭を上げた時だった。]
えっと………鍼灸師のお姉さん………
[広場の側に店が出来た時、配られていたチラシを笑顔で配っていたその人。
チラシを持ち帰ったら、「マッサージなんて端ない」と母に酷く叱られたせいで、無意識に避けていたのか、まともに対峙するのはその時以来初めてだった。]
……し、失礼します…………
[一瞬、女性をじ、っと見つめてしまっていることに気付けば、慌てて、顔を隠すようにまた少し俯く。
そのまま逃げるように彼女の横を擦り抜けようとした。]