当たり前ね。感情が無い人間なんていないもの。本当に感情がない人間なんてものが存在するのなら、その人は動くことすらし得ないのだから。
確かに貴方は特異だし、感情が在ると言っても、殆ど無いに等しい。実際に、私は感情の存在を認めてもなお、貴方が空っぽであるという言葉を訂正する気はないわ。
貴方はね、感情が無感情のまま凝り固まって、まるで全方位から圧力をかけられているかのように動かないの。
当然よね。こうは言っても、貴方のそれは本当に感情が無い状態と言ってしまっても差し支えがない。だからこそ、貴方は様々な願いに応えて来たし、貴方自身を保つには様々な願いを受ける必要があった。
私がいる内は、貴方は私の願いで満たされていた。でも、私がいなくなってからは様々な願いが雑多として入り込んで、貴方の中身を滅茶苦茶にしてしまうことでしょう。
貴方自身は、何とも思っていないかもしれないわ。でも、貴方は決して感情が無いわけではないの。そんな多様な“もの”が自身の中に入り込んで無事なはずがないのよ。