[他の者に聞こえないよう、声を潜め]
これから無事に国に帰れたら、の話ですが…、
近々実現するであろう、妹君──エリザベート様のお輿入れの際、私も隣国に参りたいのです。
[和平のための政略結婚。王妹殿下の輿入れは、事実上の人質だった。
ともに隣国へゆけば、己も戻ることはないだろう。]
自分で言うのも何ですが。
隊長、貴方の腹心を配下に置けるというのは先方にも悪くない条件でしょう?
ですから、私を王様に推挙していただけませんか。
[そう頼みながらまっすぐクレメンスを見つめる瞳には、"会議"の決着前とは明らかに異なる、強い光が宿っていたことだろう**]