-シコン港近く-[船上から見るシコンの港は、戦争前に見たのと何の変わりも無く思えた。その港に並ぶ軍艦が、ウルケル軍のものでないのが唯一の違いと思えるぐらい。階段状に配置された白い建物が並ぶ街。その美しさには、変わりは無い。]――……。[街や領民を守ると言う一点ならば、女領主の取った方法は成功と言えるのだろうが。男はシコンの湾に視線を向け、それから、その向こう、守備隊が配置されていた海をも思う。そこに沈んだ戦友たちを思うのだ。]