[乾いた良く透る声が特徴である誘惑鴉が、
浅ましい屍肉鴉のように濁ったしゃがれ声で鳴いた]
[同時、手すりを蹴り飛ばし、矢よりも早く狐へカッ飛んだ。
悪夢に惑ったアルビンには、それは邪神のごとき血親に見えている。
手加減などしたら即座に斬り殺され。何もしなければ即座に殴殺され。何かをしても即座に叩き潰される相手だ。
死に物狂いで、あらゆる力を振り絞り、立ち向かった]
[ザリ!っと熱い音がした。
鴉は狐の片耳を食いちぎり、爪でその顔を抉って、狐の背後に通り過ぎた。
そのまま、廊下を黒い矢が飛び抜ける。
あまりの全力疾走に、ターンすら効かずに]