[ベリアンと、ウェルシュと名付けられた屍鬼の見守る前で、テオドールは黒い”霊薬”を呷った。程なくその身を襲った異変は、本来なら身体の正しい防衛反応だ。見ているだけで喉が乾くほどの苦しみを、テオドールは誰に縋ることもなく耐えてゆく。] ご立派です。[恨み言めいた軽口を投げるテオドールに、ベリアンは世辞ではなく頭を下げた。毒を盛られたと錯覚したり、苦痛に錯乱してベリアンに斬り掛かる可能性も皆無ではなかった。だが、テオドールは精神的にも難関を乗り越えてみせたのだ。]