―――っ、何が……!
[何があった。それは確かに一階から――否
外から、聞こえた様な声であったから
揺れるドア。吹雪は未だ止まず
廊下迄白く染めゆくなか、人が2人いる
ディーターと、ヤコブと
――そして1人が。”沈んでいる”]
……誰……
(いや、わかってる。オットー、フリーデル、カタリナには逢った
そしてこの場にヤコブとディーターがいる
いないのは、”1人だけ”)
―――ある、びん……?
[ホークで、氷漬けになった緋色の体を
削るヤコブの姿は未だ見えたろうか>>28
そうであるなら。その痛々しい姿に
思わずその腕を引こうとしたろうか]