[ 騎士の言い分を黙って聞いた黒虎は、ぐる、と不機嫌に喉を鳴らす ]
偉そうに御託を並べるな。
身一つで生きる者達は、降り掛かる火の粉を払うに手一杯だ。
配下を手足に使って遊ぶ『女神』や、狂信者同士が寄り集まってちょっかいかけてくる『獣神』と違ってな。
[ 『女神』も『獣神』もさして変わらぬ存在だ、と言い返しはするものの、そういう黒虎は火の粉をわざわざ被りに行く性癖だと、知っているディークあたりには、呆れられたかもしれない ]
二度と会わずに済むといいがな、お互いに。
[ 立ち去る騎士の背に牙剥いて笑うようにかけた声は、実の所、次の邂逅を望むようでもあった* ]