― 橋の南側平原 ―[川の南岸の魔王軍を掌握するクレステッドの半ば透けた姿。だが、その肉体から発せられる声は揺るぎなく魔物たちを支配した。殊に、魔術により傀儡化した雑兵の群れは、ひたすらに船団を目指し、水に入っても歩みを止めることなく、溺れた者の頭上を後列の兵が踏み越えて船に迫る。その虚ろな迫力に、船を操る水兵たちは恐怖した。 「うああ…」櫂で叩くも、濡れた手が次々と船縁にかかる。]