[通り過ぎ様にクレメンスが、軽く頭を撫でてくれたのに。一瞬、びっくりして空色の瞳を丸くする。元々、双子の兄との触れ合いが多く、髪や頬を撫でて貰うのは好きだったし、心の何処かで父親のように想う人の手だったから。拒否することなど、あるはずもなく。指先から伝わる一瞬のあたたかさに、こんな状況なのに、思わずほっとしたような表情を、浮かべてしまっただろう。]