[宿屋の作りのせいなのか、叫んでいるということはわかるものの、内容までははっきりと聞き取れず――…声の主に何かが起きたのだと判断すると、自分に何ができるかなんて考える暇もなく――…部屋の鍵も、サイドテーブルに隠した指輪もそのままに、三階への階段をあけあがった。一階二階にいるものがあるならば、慌ただしい足音が微睡みを邪魔してしまうかもしれない]