― ゲルトの家 ―
[血臭、死臭。赤色をしたシーツに包まるゲルトの姿を前に、顔を顰めた>>19。
遠くからは眠る様にも見える。然し、瞼を閉じたその顔が、既に冷たく事切れているのは明らかで]
……読みはびったり的中。
人狼はこの村の中。村の中の誰か。か……。
……おい、そのシーツは開かない方が。
[人狼がこの村に存在する事。この嵐に乗じて、命懸けの面倒ごとが始められた事。
此処まで、己の本来の任務内容が滞り無く進んでいる事を確認して、溜息を洩らさずに居られないのは仕方が無い事だが。
視線を戻すと、死者を前に十字を切る余裕すらなく動揺しているフリーデルが、恐る恐ると、亡骸を包むシーツに指を伸ばしていたが、それを止めるだけの間は無く>>20]