―回想/メリーダウン前/メイン・サロン―
[病状を聞くにつれ、カークの顔が険しくなるのを見て、ああ、やっぱり医者なんだなと、そんなことを思う。>>45
音楽家だと名乗った際にみせた表情は、自分の病状を、誰よりも知識として理解している彼ならではのものだった。
まるで、自分か苦しいみたいな悲しい顔……。
だから、無理はするなよ…というカークに対して、素直に頷いておく。]
ありがとう、心強いです。
薬は多めに持っているので、まだ大丈夫。
[それは心からの言葉。
"まだ"と付け足したのは、窓の外に見える亜空間を視界にいれたからで。]
[そして以前にバイオリンの音を聞いたこと>>0:68、バイオリニストの指であったこと>>1:34で、シオメンがバイオリニストである見当が付いていたことを話すだろう。
その際には、グッと握り込んでいるシオメンの手を開かせて。>>4
優しいんだろうな、聞いてみたい……と、呟かれた言葉は、まるで……泣いているのかと錯覚するような響きをもっていた。]