(仕掛けては来ない、か)
[ 歩みを進めながらも、神経の一部はマレンマの前に居る影の天使へと向けられている。
向こうもコンラートの姿には気づいているようだが、恐らく今ここで、殺戮を行う姿を晒すつもりはないのだろうとの予想はついた ]
お忘れですか?俺は「天使憑き」ですよ、天に殺されたんじゃ、名前負けだ。
[ 本当に大丈夫なのか、と案じてくれるシスターに、わざと少し声音を大きくして告げる。普段その異名を自分から口にする事は無いと知っているシスターは少し驚いた顔をしたが、安堵が、その驚きを上回ったようだった。対して周りにいる信者達は、不審から不思議そうな表情へと変わっている ]
マーレは、なんだかすごいことになってますね。
[ 次いで話題をそちらに振れば、「ええ」と、頷くシスターの顔には誇らしさと慈しみ、その裏に僅かに不安そうな色を隠した複雑な笑みが浮かんだ ]