― 講義室 ―
[フィオンと別れてから夕食までまだ時間があったので
それとなく人探しを敢行する。
記録を課されている自分の所在が記録保管庫に偏りがちなように
カスパルの任を考えると足が向いたのは講義室だった。
一日の講義を終えて空になった講義室の奥で
資料に視線を落としている探し人の姿を見つける。>>55
カスパルもこちらに気付いたようだが
出入口を塞がれていては動けないのだろう。
立ち尽くしたまま取り繕われた表情に目を細めた。>>56]
ズィーネ中尉に率直にお伺いしますが、
私の事を避けていませんか?
[フィオンの言葉が正しいならきっと言葉は濁される。
もっとも、肯定が来ても次の問いは変わらない。]
“私”はあなたの何なのでしょう。
[初対面時に零された言葉>>0:48を拾って一歩近づく。
彼は“ドロシー=ディレイ”に何を重ねて見ているのだろうか。]