[水場に入り込んで、自分の気配を消す。川に入ってそのまましばらく水辺を下流になるまで走って。彼はどこまで自分の足取りが掴めるだろうか。ひとところに落ち着くような愚は犯さない。レーションを口に放り込みながら、動き続ける。疲れたら軽く休み、時折うとうとしながらも。]そろそろ、日が陰ってきたか―――。[ゲオルグは何をしているのだろうか。夜になればこれから逃げる方が有利な時間になる。しかし、一向に安心できないで、彼の不敵な笑みを思い出していた*]