[敵意を孕んだ険しい気配は練られるように高まっていく。
留まっていられるのは、王からの許可が下りない為だ。
忠義は自らの本能を抑圧し、理性を育ててくれる。
それに、己以外に同胞が控えるなら尚のこと。
流れ者である彼に魔族の営みを教えたのは道化であるが、魔に与するものとしての戦い方を教えたのは獣であった。>>40
彼は安寧を、己は悲願を。
求めるものは違えども、描く絵図は良く似て。
何時しか、彼が後衛を担えば、黒衣は一瞥もくれずに踊るように前に出るようになり。―――― 彼には苦労と信が寄せられた。]