―少し前―
[>>44怪我人の中には「自分は大丈夫」と言い張る者もいた。
そんな輩は衛生士官に引きずるようにして医務室へと連行されていく。]
…ったく、頭から血を流してる奴が何を言っている。
舐めて治るものか。
[男は腕組みをして悪態をついた。怪我を押して業務を行って、状態が悪化したらどうするのだ。精々お灸を据えて貰うといい。
幸いにも、男自身は軍医の世話になった事は数える程しかない。
暴れる患者を連れていくのはさぞ大変だろうと褐色の肌を持つ曹長に同情しつつ、大の男を引っ張っていても尚機敏なその足取りを暫く見送っていたが、やがて持ち場で復旧作業をしている部下達の方へと視線を移した。*]