………………すま な、い
[ 彼女だけではなく。
見回すことは出来ずとも、彼女以外の…誰か。>>6:228
もう一人の夥しい血の匂いを鋭敏な鼻は嗅ぎ取って、
嗚呼、すでに彼女以外の誰かを手にかけたのかと、
獣では感じ得ることのない"絶望"を覚えながら口にする、
すでに"誰か"には届くことのない微かな言葉を口の端から零す。 ]
生き続ける意味なん か 価値なんか、 っ…無かったのに
僕が――、僕の我が儘で 君を…他の人を傷つけて
[ 息を吸っても濁った水音がして、
酷く苦しいままで。咳き込めば生暖かさが口元を濡らした。
それでも、まだ、これから言うことが
彼女にどれだけ負担を与えるかを知っていたとしても、
ごめんなさいと唯一言>>55を繰り返す、
彼女が伸ばした赤い手のひらに触れて、
謝らなくていいんだよと囁けば微笑んで言おうか。
酷く残酷な哀しい最期の頼みごとを。 ]