―パン屋―
[オットーのパン屋には、オットー自身も知らない“ある物”が隠されている。それは、一枚の手紙。かつて彼に呪いをかけた、“彼女”の遺した“解呪”の手紙である。]
『――拝啓。私から、貴方へ。
出会いを遂げてから時が経ち、貴方は私を、私は貴方を、いつしか依存対象として過ごすようになりました。
ところで――
――この手紙を、貴方は見つけるかしら。もしも見つけたのであれば、貴方は恐らく、この上なく、疲労している。何せ私の、この私の願いに逆らったということに相違ないのだから。
それと同時に、貴方がこの手紙を見つけるということは、私は貴方に「生き続けること」を望んだのでしょうね。貴方のことだから、貴方はきっと、私の願いに縛られると同時に解放されて、傀儡のような人生を過ごしてきたことでしょう。
いいかしら?今から私は、貴方の根幹に関わることを書く。それはあるいは、貴方を死へ導く死神のような言葉になるかもしれない。でも、それでも、私は貴方にこのことをどうしても告げたいと願うし、貴方は知るべきだと思う。
“貴方には、感情が在る。”