少しお茶に付き合ってくれ。
[ 天幕の中に半ば強引に連れ込んで(回りの兵士が慌てて目を逸らしていたが、気にしなかった)スパイス入りのお茶をいれる ]
......兄上が死んだ時、俺は、お前を置いて来た事を、酷く後悔した。
[ 身体を温めるお茶を口にし、張りつめた気持ちを解すように、深い息をついて、男は、今まで、避けてきた話題を口にした ]
最初から、お前を一緒に連れて来ていれば...お前が兄上を手にかけることも、なかったんじゃないか...でなくとも、俺がもっと早く、お前を捜していれば...お前が旅立つ前に、迎えに行けていれば...そんな風に、後悔ばかり浮かんで。
[ アイリは、どんな顔をしていたか。男の方は、言葉とは裏腹に、静かな笑みを浮かべている ]